彼は、理想の tall man~first season~
「うわわわ!! す、すみません!! だ、大丈夫ですかっ!?」
察するに、立ってバランスを崩したトモコという子が、ロールカーテンに手をつこうとした。
が――天井から下げられているだけの、少しの風でも揺れるロールカーテンは、壁の役割をまるで果たさない代物で。
そのロールカーテン諸共、俺の背中に肘から落ちた。
そんな所なんだろう。
ただ、救いだったのは、煙草を消した後だったという事と、ビールを飲み干した後だったという事。
それらの最中だったら、惨事だったに違いない。
「ごめんなさい、本っ当に、大丈夫ですか?」
背中に鈍い痛みを感じつつ、謝り続けるトモコという子には、適当に頷き返した。
「智子、大丈夫? 立てる?」
「う、うん・・・・・・」
トモコらしき子を彼女がしっかりと支えて、立たす姿が視界端に映った。
「本当に、すみませんッ」
再び謝られ、トモコという子に視線を動かすと、顔が真っ赤だった。
それが酔っている故なのか――この騒動に対しての完全な失態、故なのか?
知る由もないが。
ただ俺は、隣り近所のテーブルから、何事かと注目を浴びてしまっていたことに気が付いた。