彼は、理想の tall man~first season~
「術後もどうなるか分からない状況の最中、奥さんの妊娠も判明して」
「そうだったんですか」
「それで急遽ね」
「ピンチヒッター、中條さんて感じだった訳ですね」
「まあ、独身者はなにかと身軽に動けるからね。今はその課長が営業部長に昇進して、俺も晴れて営業部に帰還出来たって感じ」
「尚輝も、営業部に異動になったんですよね?」
「そう。もともと、尚輝が入社した時の配属って俺が前にいた部署で――」
尚輝が入社した時の部署は、商品開発部。
中條氏が入社した時の部署は営業部だったらしいけど。
営業力を身につける為にも、中條氏は一度開発に携わりたいということで、開発に異動願いを出してそれが受理され、その翌年だかに、中條氏は入社ホヤホヤの尚輝と、出会いを果たしたようで。
営業部に戻ろうと異動願いを出した所で、元上司さんの家庭の事情により、海外推進事業部の異動になったようだった。
建てたばかりの海外生産の拠点地で、現地の人間と現地に在中している邦人社員の間で。
品質の徹底強化と生産工程の管理、システムの構築などなど、本来の業務とはかけ離れたに等しい部分の仕事をしてきたようだ。