彼は、理想の tall man~first season~

「義弟はあそこら辺の方が、会社が近くなるようなこと言ってたし。土曜日一晩、特に騒音なんてこともなかったら――」


私は、完全に動揺していた。

つまり、中條氏が隣りのマンションの住人さんになる可能性があるかも知れなくて。

顔を合わせる機会も増えるかも知れなくて。

このままいけば、間違いなく、ドキドキの日々が待っている。

私の、正直な気持ちは――そんな感じだった。


「あそこのマンションさ、眺めが最高にいいよね」

「はい――私も結構気に入ってます。日の出もかなり綺麗に見えるんですよ」

「日の出か、いいね」


これからの日々に、少しの期待と、少しの不安。

ご近所さんは嫌ではない。

けれど、いきなりだったから、完全に動揺なんだ。


尚輝は、そうなったら、さぞかし大喜びだろうな。

昨日の尚輝の様子を思い出す限りじゃ、中條氏を本当に慕っていて大好きって感じだったし。

きっと先週飲みに行った時、尚輝は中條氏をどうにか近場に住まわせようと、熱く語ったに違いないと、私は勝手に思っていた。


昨日突然家に来たっぽかったのは、間取りを見に来ていたということか――。
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