彼は、理想の tall man~first season~

尚輝か私――そのどちらかが結婚して、だとか。

まだまだ先の事に思えて――というか、やって来るのかさえも微妙な話だ。


「姉貴の子ども、帰国して初めて見たんだけどさ、もうめちゃくちゃ泣かれた」

「え、そうなんですか?」

「子ども目線だと、俺は相当巨人みたいで・・・・・・参ったよ」

暫く抱っこさせて貰えなかったし――なんて。

ちょっと拗ねて言った中條氏。

そんな姿はなんだか可愛く見えて、思わず笑ってしまった。


自分基準でのいい方向のイメージの崩壊は、ギャップというスパイスが効いて、より心の中にスッと入って来る感じで。

今のこの食事の時間が、より楽しく感じられ。

背的なしがらみも忘れて自然と笑っていた。

そんな自分を――嫌いじゃないかも、なんて思ってたり。


恋愛対象になり得る異性と、こんなに自然に笑い合えたのは、本当に久々のことだ。

相手をもっと知りたいという感情の芽生えも、自然と心の中に宿り。

つきそうでつかなかった、恋の灯は、気付いていなかっただけで、既についていた――のかも知れない。

何が良いかって、全体的な雰囲気が、私にはなんかしっくりと来たんだ。
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