彼は、理想の tall man~first season~
年に2~3回すれ違う位だなんて関わらないに等しいように思うけど。
そんなに強烈なお姉さんなら、遠目からでも様子を伺ってみたい、なんて思ってしまった。
「妹は九州に嫁いだから、もう滅多に会うこともないけど」
姉貴はなんせ実家の隣りだからね――なんて。
兄弟姉妹の話に花が咲き。
それからゆっくり食事を終え、中條氏は近場の駅まで車で向かうと、ここからは電車で帰るから――と。
ファミレスからの最寄り駅で、車を降りた。
「こっちまで来させちゃって、ごめんね」
「いえ、通り道みたいなもんですし」
「帰り道は分かる?」
「はい、大丈夫です。あの、今日は貴重なお休みに、お時間割いて下さって――ありがとうございました」
「ううん。また来週、よろしくね」
「はい、宜しくお願いします。あの、中條さん、ご馳走さまでした」
「いやいや、こっちこそ。夕べから世話になりっぱなしで。ありがとね」
「――いえ」
「尚輝にも、よろしく言っといて」
「はい。本当に、ありがとうございました」
じゃあね――と、爽やかに笑った中條氏の顔を見て、心の奥がこそばゆくなった。