彼は、理想の tall man~first season~
記憶の片隅では、彼女は結構お酒を頼んでいたように思う。
なかなか飲める子なのか?
酔って男に頼るということもなさそうな子だなと、なぜか俺はそんな風に思っていた。
女性にしては背が高くて、スラッとしている。
スレンダー美人と言ったらいいのか――確かにそれならモデルをやった方が、といった容姿。
パッチリ目の二重で、鼻筋はなんの迷いもなく、スッと高く通っている。
小顔で色白で、肌も綺麗。
写真映りも良さそうだ。
「ご迷惑お掛けして、申し訳ありませんでした」
彼女はトモコという子にブーツを履かせ終わると、酔って転んだ友達の分まで、俺達に頭を下げて帰って行った。
ただ、去ったと思ったら、トモコという子がひとりで戻って来た。
「あの、すみません、もし、体、怪我してたら、M大で誰か捕まえて、ミサの友達のトモコって言ってもらえれば、多分それで通じますから、遠慮なく呼び出して下さい。治療費とか、そういった類の――」
全く心配ないから、兎に角気を付けて帰りなよ――と。
それだけ言うと、失礼します――と、頭を下げてその場から去って行った。