彼は、理想の tall man~first season~

ロータリーで別れ、それから私は運転席に移り、真っ直ぐマンションへ帰った。


もう少し一緒にいたかったような・・・・・・。

でも、そんなことを言える間柄でもない。

中條氏と別れた後の気持ちは、少しの寂しさを私の心の中に植えつけた。


そういう気持ちはやっぱり久々で。

恋は一日、というか一瞬でおちる事が出来るということを知っていた私には、錯覚とも思えるような。

でも、実際そうなのかな――とか。

穏やかな気持ちでも、どこかふわついていて。

部屋に帰ってから、出たベランダ。

そこから見えた夕陽は、私の心を、どこか温かくしてくれた。


そして、ふと見たこのツインマンションの片割れ。

もしかしたら、中條氏があのマンションのどこかの部屋に住むかも知れない。


考えていたら、変なドキドキに襲われて。

それに耐えきれず、私は部屋に煙草を吸いに飛び込んだ。


その日から、気持ちがどこか落ち着かない――そんな日常が始まった。
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