彼は、理想の tall man~first season~

あいつを好きだと気付き。

でも――全ては、それに気付いた瞬間に、認めちゃいけない気持ちだと思い知らされ。

その気持ちに蓋をした。


それから、高校と大学で付き合った人はいたけれど、まともに恋愛をしたという感じではなかった。

言ってしまえば、思春期に突入してから、背的コンプレックスで、気持ちは雁字搦めになる一方だったから、うまく行くワケもなかった。


そう言えば、あの中学時代の一件があって以来、自分から好きになった人はいなかったな――と、ふと思った。


まあ、社会人になってから、理想に近い素敵な人に巡り会えたことはあったけど。

奥さんがいる人だったから、その時点で、そんな気持ちは風の如く吹き飛んでいったし。

そんなことを考えていたら、案外私は恋愛経験が乏しく、著しく恋愛偏差値が低いのかもとか思えて来た。


大体、自分よりも背が20センチ以上高ければ性格が多少悪くても――とか思っている時点で、アウトなのかも。

ただ、性格重視で人を見ると、最終的に自分の背がネックでアウトになる。

全く以て自分の心理状態と周りの状態とが噛み合わずで、うまいこと回らなかったんだ。
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