彼は、理想の tall man~first season~
天気は爽やかに晴れ渡り、移動の間は、屋外の空気を堪能。
オフィスの中ではこうは行かないからなーなんて思いながら、円山商事に到着。
応接室に通され、小林部長に直接書類を手渡して、中身を確認してもらった。
「いやぁ、麻倉さん、本当にわざわざ申し訳ない。どうもうっかりしていて」
ありがとう――と、深々頭を下げられた。
「いえいえ、こちらが早くに気付けば良かっただけですから」
村岡からも、気付かず申し訳ありませんでしたと言付かっておりますから――と、あくまで村岡部長の意図に沿った言葉を返した。
小林部長は帰社後、書類がないことに気付いたらしく。
電車の中に書類を忘れたかも知れないと顔面蒼白状態になり、鉄道各社に電話までしたと、額にうっすらかいた汗をハンカチで拭いながら話してくれた。
だけど書類が見つからず、誰にも言えずにひとり焦っていた時に、村岡部長から電話があり。
「いやぁー本当にホッとした」
「もう少し此方が早くご連絡するべきでしたね」
「いやいやいやいや、そういうことじゃなくて。本当に村岡部長には頭が上がらないくらい感謝してるんだよ」