彼は、理想の tall man~first season~

「――ん? 若干、11センチってとこだろ」

「はぁ? あ! でも、奢ってくれるなら、仕方がないから付き合ってあげてもいいけど?」

「お前こそどんだけ上から目線だよ。相変わらず女王様だな」

「暴君に言われたくない」

「減らず口たたきやがって、生意気」

「そっくりそのままお返ししますー」


偶然久々に会った晃と、相変わらずな会話をしながら。

行く場所を決めて、電車に乗り込み移動した。


着いた駅の西口の馴染みのある居酒屋で、「お疲れー」なんてビールで乾杯。


「私、焼肉奢って貰う気でいたんだけどなぁ」

「はぁ? どんだけ図々しい女なんだか」

「あー! そう言えば、勝ったんだってね、決勝。おめでと」

「美紗、お前――そういうのって、会って直ぐに言うもんじゃねぇか?」

「ごめん、ごめん、忘れてた」

「どんだけだよ」


異性で言いたいことが遠慮なしに言えて、煙草も吸いたいだけ吸えて、お酒も飲みたいだけ飲める相手。

晃みたいな奴は、いそうで案外いない。


貴重な私の男友達で。


――――あれだ。

たまに体の関係があったりする仲だ。
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