彼は、理想の tall man~first season~
「ま、でも、社会人になると、お互い何かしらに追われてるから、会う機会も減るのかもね」
「だなー」
俺もなんだかんだで仕事忙しいし――と、晃はそう言った直後に自分と私の分のビールを2杯注文してくれた。
「私も尚輝も、ここ最近は引っ越しでドタバタだったし」
「ああ! お前らそう言や、引っ越したんだよな?」
「うん、だから早く引っ越し祝い持って遊びに来なさいよ」
「うわ、出た、女王様」
「私、ホームベーカリーが欲しいんだよなぁ」
「はあ? 知らねぇよ」
「それか、エスプレッソメーカーかぁ」
「だから、知らねぇって」
「あとは、ルンバかな」
「は? ルンバってなんだよ」
「知らない? 床に転がしておくだけで、勝手に動いてゴミを吸い取ってくれる円盤掃除機」
「んじゃ、コロコロ買ってってやるよ。ああ、100均で売ってるやつな」
「やだ! ホームベーカリー」
「パンなら買って食え」
「作ってみたいの! でも、新しい炊飯器も欲しい」
「はあ? ねだるもんを増やすなよ、悩むだろうが」
「あっ! ダイソンの掃除機でもいいよ?」
笑った私を軽く小突いて、晃は呆れた顔で笑っていた。