彼は、理想の tall man～first season～

◇◆◇


「美紗ぁ、さっきのリーマン超イケてたねぇ」

「えー、そうだった？」

「もう、見てないの？　いい男好きが」

「ん～？　誰かさんが、いきなり隣りエリアのお客さんに、なだれちゃったからね、焦ってそれどこじゃなかったのよ」

「うわうわ、ごめんて！」

「いいけどさ。あ、智子」

「ん？」

「智子は怪我、なかった？」

「うん、平気！」

「無事ならいいけど、気を付けてよね」

「うん。ってか私、ほんと美紗のこと、好きだわぁ」

「なに、いきなり？」

「だぁ～ってさぁ」

「――ね、智子」

「うん？」

「今日は、付き合ってくれて、ありがとね」

「なに？　いきなり」

「智子といると、ホッとする」

「美紗が、へん？」

「変じゃないってー、私はいつもそう思ってたって話だよ」

「うきゃー、うれしい！　私も美紗、大好きぃ」


彼氏と別れ、友達と飲んだ帰り道。

居酒屋でのアクシデントは、それなりのインパクトを私に落としたけれど。

それ以外、特になにもなく――。