彼は、理想の tall man~first season~

「だぁっから増やすなよ! そういう天の邪鬼には、行った時玄関前に盛り塩してやる」

「うわ、最低」

「最低でもねぇだろ?」

「盛り塩とか、最低でしょ! 悪霊祓いでもしようっての?」

「あーはいはい。最低でもいいけど。尚輝と相談して決めとけよ。ボーナス出たら買って持ってくから」

「え? いいよ、悪いし。私、別に本気で言ってないし」

「はあ? 意味分かんねぇ」

「気持ちだけ受け取っておくことにする――半返しが倍返しになりそうだし」

「うわ、美紗じゃあるめーし」

「なんでそこで私の名前が出るのよ!」

「はい、そこでカリカリしないで下さーい。眉間のシワは作らなーい」


なーい、と同時にオデコをパチンと叩かれて、痛いと抗議した私。

晃は、「うお、いい音」とかなんとか言って笑っていた。


レディのオデコを叩くなんて失礼な奴だと思いつつも。

久し振りのこの感じが、なんだかんだで楽しくて。

私はバッグの中で密かに震えていた携帯に気付かなかった。


晃は飲み始めると微妙にタチが悪くなる。

そして今日の晃は、いつもの晃で、なかなかハイペースだ。
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