彼は、理想の tall man~first season~
ビール党の晃とそうでない私。
途中からついていけなくなった私に、早く空けろよ――と。
私のジョッキの中身を空にさせようと、急かして来た。
尚輝も晃も飲んでも顔色ひとつ変わらないタイプで。
私もあまり変わらないと言われるけれど。
流石にザル男並には飲めないというか・・・・・・。
「お腹いっぱいで飲めない」
酔う酔わない以前の問題で。
私はすっかり満腹感でいっぱいだった。
「あれだけ飲んで、お腹のどこにそんなに入るの?」
「さぁな」
ケロッとした顔でそんなことを言った晃は、私のジョッキの中身を勝手に飲み干した。
そして、通りがかったこの居酒屋の店主、通称オヤジを呼び止めて、ウィスキーでいいか? いいよな――と。
晃はオヤジから私へと視線を行き来させ、頷いた私を見て、ストレート2つ――と、ウィスキーを注文してくれた。
お腹がいっぱいだと、量よりも中身というか、度数の問題で。
ここら辺を熟知してくれている晃は、微妙にタチ悪でも、やっぱり飲むに飲みやすい相手。
ただ、途中まで自分のペースで飲ませる辺り、言ったら俺様な性格でもあるんだけど。