彼は、理想の tall man~first season~
ただ、いい方向の話じゃないことくらい、晃の雰囲気から伝わって来て。
私は変な緊張感に支配されていた。
晃は、私が遠回しに言おうとしていたことを、先回りでダイレクトに言って来て。
しかも、それは許さないとも取れる雰囲気。
そこには、私のことをいつも理解してくれていた晃はどこにもいなくて。
だから、私は――どこまでも動揺した。
「なあ、美紗」
「――っ、なに?」
「お前、ハッキリ言わねぇと、やっぱ分かんねぇ女みたいだから、この際だし、言わせてもらうけど」
「う、ん?」
グラスを見つめていた私は、ただならぬ晃の雰囲気に、視線を晃に移した。
そして、射抜かれるんじゃって思うような、そんな強い瞳を私に向けて来た晃は――
「俺は、好きでもない女は、絶対に抱かないからな」
「――ぇ?」
ハッキリとした口調で、私にそう言って来たんだ。
まさかだったその言葉に、一瞬頭が真っ白になり。
心臓はドクンドクンと、大きな波を立てていた。
「そこまで言って理解出来ない程、美紗はバカじゃねぇよな」
真剣な眼差しは、冗談で言っているようには思えなかった。