彼は、理想の tall man~first season~
だけど、これを冗談であって欲しいと願ったのは、私の中で、『今更』という感情が、強く芽生えたからだった。
今更そんな告白めいたことを言われても、私はただただ、動揺するだけで。
この状況で冷静に考えることなんて出来なくて。
最低だと、自分でも思ったけれど――。
「ちょ、ちょっと、なに? いきなり――変なこと言い出さないでよ」
私はそれを冗談として、かわそうとした。
だけど、晃はそれを、赦してはくれなかった。
「変なことでもねぇよ。美紗が誰のモノにもなる気はなさそうだったから、俺は今の関係でもいいと思ってた。けど、そうじゃねぇなら――俺はもう、形振り構ってらんねぇんだよ」
「―――」
「俺はな、中学ん時から、気持ち殺してお前と仲良しこよし演じてやってたんだろ」
「ちょっ――そ、そんなの、聞いてないし」
「言ってねぇんだから、当然だろ」
思いっ切り動揺していた。
だって、中学の時からって。
あの時、私に気のない態度を取ったのは、他でもないこの晃なのに――。
頭の中がパニック起こして、急に酔いが回ったみたいに、眩暈に襲われた。