彼は、理想の tall man~first season~

それが、今更好きって――。


当時のことを思い出していくうちに、私は報われた気持ちよりも、やっぱりちょっと悔しい気持ちになった。


あの頃、ちゃんと気持ちを伝えていれば、繋がっていた気持ちだったのかな?

今更考えても仕方がないけど、苦い思いを抱えた初恋に、無理矢理終止符を打つよりは――その方が良かったように思えた。


尚輝と晃が仲が良いということは、必然的に私も仲良し状態は維持しなくてはならなくて。

だから、私は晃を好きだという気持ちを誤魔化すために、当時人気のあった体育教師が好きとか無理矢理な嘘言って。

1番仲の良い女友達という居場所を確保して、それをバカみたいに維持したんだ。

それから、3人一緒の同じ高校に進学が決まって。

その辺までは晃が好きだった。

でも、思い続けることに苦痛を感じて、思い切って視野を広げてみたんだ。


晃はバスケ部。

私も尚輝も帰宅部だったから、四六時中ってくらい一緒にいた中学時代とは違って、晃とは一定の距離も出来て。

私は私で、違うグループの男子なんかとつるむようになって、先輩とも幅広く知り合って。

告白されて付き合うことになった人もいて。
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