彼は、理想の tall man～first season～

晃のことは、淡くて苦い初恋だって、心に蓋して。

私の中ではなかったことにしたんだ――。


１０年以上も前の話だけど、それでも、心の片隅ではずっと引っかかっていたことには違いなかったと。

今話して――思い出した気持ちに、踏ん切りの付け方が、微妙に解らなくなった。


諦めた気持ち。

だけど、嫌いじゃなかった。


――好きだった。


途中で友達という形の好きに変わったけれど。

今でもそれには変わりなく、好きに当てはまっていたりする。


でも、なんのしがらみも感じない中條氏に出会ってから、いきなりそんなことを言われても。

どうしたらいいのか、頭の中は混乱なんだ。


「今更、そんなこと言うなんてさ、ズルイよ――晃」

「ごめんな。でも、今、言わなかったら、俺は一生後悔する」

「―――」

「勝手だってのは、自分でも解ってんだ」

「なによ、それ――」


切なそうな顔されたら、余り強くも責められなくて。

晃の顔を見ていたら、胸がギュッと痛くなった。