彼は、理想の tall man~first season~

「美紗が当時感じたことを、尚輝も感じてたんだよ」

「――どういうこと?」


私が当時感じていたことを、尚輝もって。


「お前さ、誰だったっけ、中坊ん時の色ボケ体育教師の」

「うーんっと、林先生!?」

「そうそう、林だ、林! 美紗は、林がどうのって、あからさまに騒いでたろ?」

「あぁ、うん」


あれは、晃への気持ちを誤魔化す為の嘘で、から騒ぎだったんだけど。

まぁ、ひとりワザとバカみたいに、林先生かっこいいとか、好きだとか騒いでたっけ。

懐かしい――。


「まあ、あん時よりも前から言ってたけど。騒ぐ美紗を見て、尚輝は複雑な気分だって、ボヤいてたんだよ」

「え――尚輝が!?」

「ああ、ビックリだろ?」

「うん」


まさか尚輝に限って、そんなことがあるなんて、思ってもみなかった。


「だからな? そんな調子で、もし美紗が同級生と付き合ったらどうなんだって聞いたら、尚輝――俺、無理だろうなって」

「え? 尚輝がそんなこと言ってたの?」

「そうだよ」


それが、さっき言ってた、尚輝も一緒だったってことなの?

私が嫌悪感を抱いたみたいに、尚輝も――ってこと?
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