彼は、理想の tall man~first season~
「尚輝は、美紗のこと色々言われてたんだよ。お前も尚輝のこと、女子から質問されたりって結構あったろ?」
「あ――うん」
尚輝君て、何色が好きなの?
尚輝君て、芸能人で誰が好きなの?
尚輝君て、どんなジャンルの音楽聴くの?
尚輝君の、好きな食べ物は?
尚輝君は、甘い物って好き?
――他、色々。
確かにそういうことは度々あった。
本人に聞いたらどうなんだろ?
そういう質問をされる度に、尚輝の人気の高さを目の当たりにして――。
そんなこともあったなぁと、私は懐かしく思い出していた。
「男の聞きたいことなんて、大半が――性的なことだぞ」
「はい?」
「思春期だったからなぁ。尚輝の気持ちなんてお構いなしに、美紗のこと、結構好き勝手踏み込んで聞く輩がいたんだよ」
率直に、うわ最低だって、思った。
けど、尚輝は全く相手にしてなかったけどな――と、晃はその言葉で私を安心させてくれた。
「そんな環境下で、美紗が誰かと付き合えば、そういうことになるかも知れないって、考えちまったんだよ、尚輝も」
まさか――と、思った。