彼は、理想の tall man~first season~
でも、私もそうだったから、嘘ではないんだろうと、飲み込めた話。
「美紗も、尚輝のそういうの、考えたくもないってよく言ってたろ?」
「うん、私、超嫌だった」
やっぱりそう思うと、尚輝もそう思ってたことは、ごく自然なことなのかなとか思えたけど。
尚輝がそんな風に思うということ自体が、尚輝の今までを振り返ると、どこか半信半疑なんだけど。
「美紗が嫌がってたくらい――もしかしたらそれ以上に、尚輝は嫌だったんじゃないかね」
「――本当に?」
「そうだろ。年が少しでも離れた兄妹だったら、そこまで考えなかったかも知れないし。冷やかしだってただの冷やかしですんだけど、同じ学年じゃあな」
「――そっ、か」
誰も知らないけど、吐いたくらいだもん。
本当に嫌だった――。
兄妹でも同じ時分に生まれた私と尚輝。
分身みたいな尚輝の性的な事情なんて知りたくもなかったし、考えたくもなかった。
晃の言うように、お互いにそれは、そうだったのかも知れないと漸く私は納得が出来た。
「双子は、考えることが一緒。俺はそれを両方から聞いてたってのもあったから――」
「え? あの、ごめん。でも、ありがと」