彼は、理想の tall man~first season~

「別に、恩着せようなんて思ってねぇぞ? ただ、俺は過去の知ったる事実を述べただけ」

「うん――それでも、ごめんとありがとって気分」


だって、きっと、そういうことを聞いてた晃なら、当時考えていたことが、私には解っちゃったから。

きっと――晃は。


「尚輝は、誰も知らない中にポンと放り込まれた俺に、本当によくしてくれて。それがキッカケで友達も沢山出来て、美紗とも仲良くなれて」

「うん」

「あの頃は、尚輝は俺にとっちゃ裏切れない存在だった」


そういうことなんだろうなって思った。


「だから、美紗と尚輝に本心なんて、とてもじゃねぇけど言えなかったんだ」

「うん」


――どうしよう。

聞けば聞くほど、ガチで両想いだったっぽい初恋に、本当にドキドキし始めた。


「美紗が誰かと付き合うこと自体を嫌だって、それを聞いてた俺が、美紗にマジとか。尚輝を裏切ってまで――って気持ちにはなれなかった」

「うん――なんか、本当にごめん」


聞いていたら、思わず言葉が零れていた。

私も尚輝も晃にどれだけ心情を吐露していたのか。

晃が話し易いからって、甘え過ぎてたって、今更ながら反省だった。
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