彼は、理想の tall man~first season~

「だから、美紗に謝られる意味が解んねぇ」


そんなことを言いながら、晃は運ばれて来たボトルを開け、私はボトルを受け取りグラスにそれを注いだ。


「尚輝は仮に美紗と俺がどうこうなっても、俺を無視するような奴じゃなかったろけど」

「・・・・・・」

「当時の俺が、そんなんに怯えてて、愚かな少年だったってことだろ」

でもまあ美紗は林だったから、そんな仮話なんて、夢のまた夢だったけどな――。


そう言って、晃がカウンターに置いていた私の煙草を1本くれと、手に取って吸い出した。

私は頷いた後、その姿を黙って見ていた。


だけど、ジッともしていられなくて、ウィスキーを体内に流し込んだ。


ちょっとやるせない気持ちになっていた。

好きの矢印しがお互いに向き合っていたのに、それをお互いに知ることもなくて。

そう考えると、四の五の考えないで、気持ちを伝えていれば良かったのかな――とか。


「ね、健康の為にやめたんじゃなかったの?」

「あー俺ね、暫く忙しくなるから、バスケやめんの」

「え、なんで? あ、忙しくなるからだよね」


ちゃんと聞いてるのに、正常に頭が回っていない――。
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