彼は、理想の tall man~first season~

「はぁッ? ゴフォ、ゴフォゴフォ――」

「ちょ、ちょっと、大丈夫?」


言われた本人はどんな心境に陥ったんだか、激しく咽せ始めてしまった。

軽く背中を擦ってあげると、落ち着かせようとウィスキーを飲んだ晃。

そして、落ち着き始めたと同時に、私は鋭い眼差しを向けられた。


それは、なんでいわねぇんだよって、なんだか責めるような眼差しで。


「もう、時効だから言えたんだよ」


勝手なことを言っているって、自分で言ってその後思った。

さっき私にまだ気持ちがあるって感じの発言をした本人に、当時気持ちがあったことを言うなんて。

酷いこと言ってるって思った。

でも、言っておかないとスッキリとした気持ちで、前に進めない気がして――。


「ごめん、でも、そうだったんだもん。晃を好きだって自覚して、その直後に私に聞こえるくらいの声で、美紗が好きって言ってもらえて――。嬉しかったのに、告白断る為の嘘って知って。それなのに私は好きだよなんて言える? 私そんな出来た人間じゃないもん」


ムカついて勢い任せに言っちゃったことだけど、想いを噛み締めると、苦しくなって。
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