彼は、理想の tall man~first season~

晃は軽く触れただけなのに、その部分はそれを消さず。

晃の存在を嫌でも感じさせられた――。


「でも、晃――彼女いたことあったよね?」


純情晃にも彼女がいたことは、度々あったから、思ったままを口にしてみた。


けれど――

「俺に女がいた時は、美紗に男がいた時だろ」

俺はお前を何回も諦めようと思ったけど、無理だった――と。

彼女を作ったのは半分は諦め、半分はやけくそだった――と。

当時のことを思い出すと、そう言われればそうだったかも知れないなと、私は昔の記憶を辿った。


ただ――それを曝した所でどうこうする気がないらしい晃は、私がその相手――つまりは中條氏と本気で向き合うなら、見守るとか言い出して、私を更に混乱させた。


まぁ、誰にも渡したくねぇんだけどな――と、私に対する気持ちはもってして。

本気になれそうな相手なら、見守るのも愛情だ――と、純情大人晃は、そう言ってお酒を煽った。


それは、あくまで私の気持ち次第だと言われているようで、変なプレッシャーだった。

でも、あっちがダメならこっちなんて性格でもない私は、晃のその選択に感謝していた。
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