彼は、理想の tall man~first season~
chapter.11
え、ちょっと、なんで?
――としか聞けなかった。
私に2回も電話を掛けてくれたらしい中條氏は、明日のこともあるからと――伝言がてら尚輝に電話を掛けて来たようで。
その電話で中條氏がツインマンションの片割れに引っ越して来たことを知った尚輝は、飲みに誘ったらしく。
中條氏が、今家にいるその経緯を教えてくれた。
尚輝は私がそのうち帰って来るだろうからと。
だけどなかなか帰って来ないから、尚輝も私に何回か電話をしたと――。
やはりそんな状況になっていたことに、私は吐きそうな気分だった。
「敦さんには、女友達と飲んでたことにしてあるから、話合わせろよ?」
そう言われて、頷くしか出来ない私――。
動揺が気分の悪さに比例して、加えて頭も痛くなったりで。
ありとあらゆる重なりで、最悪な状態に陥っていた。
尚輝は部屋に戻る前に、晃に電話を掛け――無事に捕獲したからと言って、サンキューなと、直ぐに通話を終え。
私は尚輝に軽く睨まれつつも、晃に貸しが幾つか出来てしまった――と、呑気に思っていた。
それはある種、現実逃避みたいなものだったんだけど。