彼は、理想の tall man~first season~
chapter.01*
まだ、来ないのかな――早くして欲しいんだけどなぁ。
持っている手荷物が、重たさを増していた。
ケチケチしないで、タクシー使って帰れば良かったかも。
そんな後悔が襲い始める。
ショッピング帰り、駅のロータリーのバス停の反対側で、私は尚輝の迎えの車を待っていた。
――だけど、
「こんにちは」
「――っ、こん、にちは」
それは突然だった。
なんの前触れもなしに、私はどこぞの誰かさんから、挨拶をされていたんだ。
私から3メートル位離れた場所に、その人は立っていた。
私の周りに人はいなくて、視線は明らかに私に向いているから、私に挨拶をしたのは、間違いないんだと思った。
挨拶を返していたのは、無意識で、私はその人を無言のまま見返した。
見たことのない、男の人。
知り合いだったっけ?
でも、どこかで見たことあるような、ないような。
一生懸命考えた、けど、たぶん該当者はなし。
いや、でも、やっぱりどこかで?
頭をフル回転させて考えてみたけど、知らない人っぽい。