彼は、理想の tall man~first season~
「重たそうだね」
「――え?」
「その荷物」
「あー」
うん、確かに重かった。
ズバリと言い当てられて、私は思わず苦笑い。
だけど、本当に一体誰なんだろう?
会社関連の人だったり?
いや、でも、やっぱり、知らない人だよね?
女という枠組みの中じゃ、背が高いと言われる私は、女友達の中じゃ、嬉しいかな哀しいかな――ま、確実に哀しいんだけど、無駄に一番背が高かったりで。
それは、私の中では、かなりのコンプレックスだった。
まぁ、最近じゃ、スーパーモデルブームってヤツが手伝ってなのか、年齢的な絡みがあってのことなのか?
背が高くてかっこいい――なんて、かなり羨ましがられたりもするんだけど。
ただ、そんな私が――3メートルくらい離れた場所に立っているその人を見て、思ったんだ。
この人――相当背が高い、と。
今日の私の足元は、ハイヒール。
身長にプラスαで、普段よりも少し高いはずなのに。
だから、その私が見上げてるって、相当だ。