彼は、理想の tall man~first season~

やっぱり美紗には、女としての幸せを掴んで欲しいと思う。

卑屈に生きるのではなく、もっと前向きに、女に生まれて来て良かったと思える様な。

そんな相手と恋愛が出来たらって思うんだ。


「尚輝、明日、2度目で悪いけど、車頼むな」

「あー、もう全然いいっす」

「明日起きたら一旦電話する」

「了解です」


結構な時間を飲み続けていた敦さんは、日付が変わった数時間後、遅くまで悪かったなと言い残して、隣のマンションへ帰って行った。


今日は、特別美紗と絡んだ話はなかった。

美紗は美紗で、なにを考えているのか――今日は本当におとなしく。

もしかしたら酔うと語らない人間というか、会話をしないタイプの人間なのか?

数人でウィスキーを2、3本は空けたことはあるが。

2人で2本とか――。

晃はそこまでウィスキー派でもなかったから。

美紗が相当飲んだことは想像するに易い。



「美紗、風呂は、明日の朝入れよ?」

リビングでぐったりとソファーに体を預けて寝ていた美紗。

歯だけは磨けよと、そこだけは釘さして、俺は風呂場に向かった。
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