彼は、理想の tall man~first season~
「初めての車購入だから、シャキッとして行かないとね」
私の気合いをアピールすると、尚輝はそっちの意味で言ったんじゃねぇけど――と、なんだか呆れたような顔。
その言葉の意味が理解出来ない私は、どういう意味かを聞いてみたけれど。
尚輝は首を振って、なんでもねぇけど――と、そう言った。
だけどその後に、多少気が晴れたみてぇじゃん――なんて言うから、再び私はその言葉の理解に苦しみ。
「あのさ、会話が成立してないと思うんだけど」
そう言ってみたけれど。
「そもそもさせる気ねーから」
尚輝はさも当然かのように言ってのけた。
「お前、無駄に気合い入れすぎて、時間に遅れるなよ?」
皿は俺が洗っとくから――そう言ってくれた尚輝に「あ、ありがと」なんて戸惑いの私は、食器をシンクに置いて、部屋に戻った。
昨日の出来事があっての今日。
中條氏と2人っきりは正直キツイって思っていたから、尚輝が一緒に行ってくれることで、多少気分は楽だったけど――。
それから、中條氏から尚輝に待ち合わせ時間の連絡が入り。
正午過ぎにマンション下で落ち合い、昨日はどうも的な挨拶を交わし。