彼は、理想の tall man~first season~

「もう、ケチ」

「はい、ケチで結構」

「そこ開き直る?」

「それ、お前に言われる筋合いない」

「うん、まあ、そうだよね」


尚輝とそんなやり取りをしていると――。


「更に食い下がるのかと思いきや、引き下がるタイミング、いきなりそこ? ってタイミングだね」


尚輝と私のやり取りに、突然中條氏がそんな事を言って、笑い出した。


「敦さん、美紗はね、これ以上応戦しても意味ないと察知したら、すぐ引くとこあんだよね」

「へぇ、面白いね」


え――どこが?

一体どこが面白いの?

いまいち中條氏はつかめないとか思ってやり過ごしていると、気付けばディーラー。

いよいよだと思いながら、車を降りようとする直前、私の座る後部座席のドアが開いた。

因みに開けてくれたのは、助手席に座っていた中條氏だ。

中條氏の後ろに位置する席に座っていたから、流れ的にはある事なのかも知れないけれど。

軽いエスコートに、なんだかドキドキした。

やっぱり間近に立つ中條氏は、背が高くて――理想の身長差ということもあり、私の心臓はなかなか落ち着かない。

それは、今までに出会った人にはない雰囲気。
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