彼は、理想の tall man~first season~

「それ、持とうか?」

「え? い、いいです――いいです、大丈夫ですっ」


得体の知れない男の人に、いくらこの荷物が重たいからって、持ってもらうなって、とんでもない話。

そう思いながら、尚輝早く来てってば――と、心の中で強く叫んだ。



それにしても・・・・・・本当にいい男だと思った。

私の描いていた理想の背丈に加えて、顔のいい男。


なんだかちょっと、ときめいた。


歳はいくつくらいなんだろう。

20代後半から30代前半?


割とカジュアルさを装った着こなし具合と、本人が醸し出している、妙に落ち着いた雰囲気。

そのバランスは絶妙で。

だけどいい意味で、声のトーンとお肌のハリとがマッチしていないから、微妙につかみ難い。

うーん、でも、20代後半て服装じゃないか。

ってことは、30代前半?

それじゃ、ちょっと髪型とか、若作りし過ぎ?


再び、うーん、なんて頭を悩ませていると、その人から――「ん?」みたいな視線を送られて、私はギクリとした。


でも、その視線には、そりゃそうだって納得だった。

こっちは悪趣味にも、品定めみたいなことをしていた訳だし。
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