彼は、理想の tall man~first season~
「ごめん、今から同居人が急に来るっていうか、下にもう居るみたいでさ」
申し訳なさそうに言った中條氏に、えっ?と思ったけど。
「それじゃ、私失礼しますね」
「いや、いてくれて全然構わないんだけど。ちょっと荷物運び入れるとか言ってるからさ」
「――今から、ですか?」
「取りあえず今日の所は、ダンボール3箱らしいんだけど」
へぇ、そうなんだと思っていると、ピンポーンとチャイムが鳴った。
もう夜の8時だけど。
まぁでも、社会人だとなかなかねぇ――とか思いながらワインをひと口。
モニターに移動して、セキュリティー解除した中條氏は、落ち着かなくてごめんね、と。
申し訳なさそうにそう口にしていた。
「丁度いい機会だから、同居人紹介しとくよ」
「あ――はい、ありがとうございます」
そして数分後、今度は部屋の前に来たと知らせるチャイムが鳴った。
「ゆっくり食べててって、そんな状況じゃないけど、食べてていいからね」
「はい、すみません」
リビングから廊下に通じるドアを閉め、部屋から出て行った中條氏。