彼は、理想の tall man~first season~
「え? ああ、そうか――考えてみたら同じ会社か」
晃はそっかそっかと、納得といった雰囲気。
納得が出来ていないのは、私だけみたいだった。
「じゃあ、美紗とは――ああ、なるほどね。そういうことか」
晃は今度は自己完結で納得した感じで。
私はひとり気が重たくなっていた。
色恋云々で、特にどうするもこうするもなかった中條氏だったけれど。
これで、本当に、もうどうにも出来なくなった。
ここにはもう来る事はないし、来られる訳がない。
近付いた距離とか、ほんの少し縮んだ距離を、今日は感じもしたけれど。
中條氏とのこれ以上の接近は、断念せざるを得ない。
「美紗、お前、昨日ちゃんと帰れたか?」
「え? ああ、うん――お陰様で。昨日はありがと」
「今日は、2日酔いになんなかったか?」
「あれから帰って来て、ちょっと飲んだから――結構な2日酔いだった」
「はぁ!? お前、あんだけ飲んだのに、あの後飲んだのか?」
信じらんねぇーな、とか言いながら、昨日飲んでいたのが晃だっということを、私はあっさり本人によって、中條氏にバラされた感じになってしまった。