彼は、理想の tall man~first season~
「晃の兄貴とうちの姉貴、勤め先が同じで、そこで社内恋愛ってやつに発展して結婚ってことになったんだよね」
「そうだったんですか」
そういえば、親元を離れてからは、晃とはあんまり親兄弟の話なんてしなかったな。
なんて、ふと思った。
それでも晃から隆君が結婚するとは、昔チラッと聞いたことはあったけど。
相手がどんな人か――そこまでは知らなかった。
まあ、知らなくて当然なんだけど。
「世間て、広そうでやっぱり狭いもんだね」
「はい、本当に、そうですね」
本当に気が重い。
ドッと疲れた感じだ。
これからの日々で、なにかにビクビクしながら生活をしなきゃいけないのかと思うと、本気で気が重い。
中條氏との出会いは、私にある種の活力をもたらせてくれた。
けど、尚輝――私には無理だ。
例えば、中條氏と付き合うとなったとしても、常に晃の影が付きまとう。
逆に晃とって考えても、それは同じ事。
私は仕事に生きろって、神からのお告げなのかな?
人には向き不向き、得手不得手があって。
私は恋愛には不向きなのかも知れない。
きっとそういうのに向いている人というのは――。