彼は、理想の tall man~first season~
タイミングやチャンスとかが、いい感じに巡ってくるものなんだろうな。
私には哀しいくらいに、それらが全くないように思う。
それは、お前には向いてないからやめておけ――とでも神様から言われているようで、なんだか虚しい気分になった。
その後は、晃の家族の話をしたり、中條氏のお姉さんの話を聞いたりで。
少し冷めたごはんを一緒に食べた。
晃も家事は苦手というか、テキトーに済ませるタイプ。
テレビはまともに使っても、その他家電はひとりの時、まともに稼働していたのか疑問。
男2人でまともに家事をこなして生活して行けるのか疑問が残るけど、私は2人の生活に入り込まないようにしようと心に誓った。
食べている間に荷物を運び込んでいた晃は、また明日運び込むからと中條氏に告げると、尚輝と私の住む部屋の番号を聞いてあっさり帰って行った。
必要以上に絡まれることもなくて、私は安堵の息をこっそり吐いた。
住み始めたばかりなのに引っ越したい、とか。
男同士、BLな感じで、どうにかなれば、私と晃のことなんてチャラになるんじゃないか、とか。
晃が帰宅後、私が考えていたのは――軽い現実逃避だった。