彼は、理想の tall man~first season~

そんな中で、ご飯を食べ終え、軽くワインも飲み。

9時半を回る頃、隣のマンションのエントランスまで、中條氏は律儀にも送ってくれて。

自分の部屋に帰って来た私は、まだ尚輝が帰って来ていないことに、少しガッカリしていた。


「はぁ~ぁ」

明日は早朝ゴルフだし、さっさとお風呂に入って寝ちゃおっかなぁ。

寝不足は、肌荒れの原因にもなることだし。

まさかの事態を、あまり考え込みたくもないし。


それでも――考えてしまうという負のループ。


誰かに聞いて貰いたいけど、誰かに話せる話でもない。

勿論尚輝には話せないから、居なくてもいいんだけど。

1人しかいないこの空間は、気が紛れることはなくて、今の私には少し寂し過ぎた。


お風呂を沸かしている間、軽く部屋を片付けて、落ち着かない気持ちでやり過ごし。

沸き上がりのアナウンスが耳に届いた後、お風呂で音楽を聴きながら、心を落ち着かせようと試みた。


今日一緒に笑ったことも。

意外にも母性をくすぐるような部分があることも。

一緒にいて、凄く自然体でいられることも。

なにより、共にした時間が楽しいと思ったことも。
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