彼は、理想の tall man~first season~
「なんで――って、なんでもないけど」
「今日、なにかあったのか?」
「だからなにもないよ。一緒に買い物に行って、簡単に作れる料理を教えて一緒に食べた。それだけだよ」
「あ? それで無理だって思ったんかよ?」
「思ってない。でも、晃の親戚だから。だから、その時点で私には無理ってだけのこと」
私が尚輝に言える事は、ギリギリのラインでそこまでだった。
「別に、敦さんが晃の親戚だろうが、美紗と敦さんには関係なくねぇか?」
尚輝は、なにも知らないから、私はなにも返せなかった。
「なあ、晃と美紗ってなに? お前らなんかあんのか? それともやっぱ昨日なんかあったのか?」
「――なんも、ないし」
「だったら別によくね? 敦さんとなら、上手くやれそうじゃんか。美紗だっていいなとか思ってるんだろ?」
「そ、それは、否定はしないけど――でも無理」
「意味わかんねぇ」
「と、兎に角っ、私は一線引かせて貰うから! だから、飲んだりする時、声掛けないでね」
「なあ、晃は俺の友達で、美紗も友達だろ?」
「――うん」
「敦さんは俺の上司で、美紗に紹介して知り合って、」
「うん」