彼は、理想の tall man~first season~
「こ、こんばんは」
「お疲れさま、急に誘ってごめんね」
「いえ、大丈夫です。お誘い、ありがとうございます」
太柱の脇に立っていた中條氏。
見上げた中條氏は、スーツに身を包み、仕事出来ますオーラがぷんぷんだった。
そろそろ着く頃なんだけど――なんて携帯片手に周囲を見回している中條氏。
私もつられてキョロキョロしていると、お待たせ――と、どこからともなく、松本さんがやって来た。
軽く挨拶を交わして、松本さんの行きつけの飲み屋街へ移動。
変な取り合わせだと思いながらも、後れを取らないように私は歩いた。
ムシムシとし始めている季節。
梅雨入り間近だなと、歩きながら実感。
松本さんが案内してくれた居酒屋は、いかにもな居酒屋ではなく。
外装と内装は現代風な和を取り入れていて、ちょっとお洒落な造りだった。
「素敵なお店ですね」
「ここは個室があるから、お気に入りなんだよね」
そう言った松本さんは、部屋に通された早々、タッチパネルに手を伸ばしていた。
松本さんは脱いだ上着を無造作に自分の隣に置いてしまったから、私は必然的に中條氏の隣しか座る所はなくて。