彼は、理想の tall man~first season~

お互いの大学進学を機に、地元を離れた尚輝と私。

ふたりで一緒に賃貸マンションに住み始め、大学を卒業して、一緒に社会人にもなった。

社会人として、3年目を迎えた今年の春に、いい加減引っ越したい――というお互いの気持ちが一致して、半月前に引っ越したのだ。


引っ越し先は、お互いに会社まで、通勤時間が30分程度の場所。

大学生の頃とは違って、親の援助なんて当たり前にない。

ただ、お互い無理をしてまでリッチな気分が味わえる所に住みたいなどという気持ちはゼロで。

物件を探していて、発掘したのが引っ越し先のマンション。

都から少し出た県の、そこそこの家賃でいい物件が見つかったんだ。


パフェ男がさっき尚輝に聞いていた「落ち着かないんじゃないのか?」という問いは、間違いなく引越しのことで。

尚輝の返した、「俺の方は、ですけどね」って言葉は、明らかに私を揶揄する言葉で。


尚輝の奴・・・・・・なんだか今日は、適度に私をイライラさせてくれじゃんか。


っていうか、男よりも女の方が荷物にしたってなんにしたって、物が多いのは仕方がないし。

いやいや、そんなことよりも!
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