彼は、理想の tall man~first season~
chapter.14
「さっきの話の続きだけど」
「あ、はい」
「美紗ちゃんは、今まで付き合った相手に、本気で心を開いてた?」
「――え?」
中條氏の問いに、正直驚いた。
だけど、中條氏があまりにも真面目な表情だったから、誤魔化しちゃいけないと、脳が勝手に反応していた。
「開いてなかった――というより、開けなかったですかね」
「開けなかった、か」
「はい」
心だけではなく、私はカラダさえも開けなかったんだ。
「それって、どうして?」
「んーどうして、か。どうしてなんだろう? 最初から、なんとなく終わりが見えちゃってたから、ですかね」
「ん?」
「私、選ぶ基準は背みたいな所があって――でも、いつも足りなかったんですよね」
「どういうこと?」
「私より背の高い人ってなると最低180は越えてないとで。でも、それでも差は7センチ」
「うん」
「もう少し高い人なら、10数センチになるんですけど。やっぱり私も女だから、オシャレはしたいし。だからヒールの高い靴は履きたい。でも履くと差が数センチになっちゃって」
「うん」
「そうすると、相手もあんまりいい顔しないんですよね」