彼は、理想の tall man~first season~
俺が思ってる以上に、2人の仲は、ややこしいのか?
それならそれで、まあ、そういう対応を取るまでだが――なんて考えていた時。
「あ、尚輝」
「ん?」
「今日、出掛けないなら、車貸して」
「は? どこ行くんだよ?」
そんな会話を靴を履きながら、双子がし始めていた。
「ちょっと空港行ってくる」
「は、お前酔ってんのか?」
「全く以て素面です」
「今から、行く気か?」
「うん」
「ひとりで?」
「うん!! 羽田まで、ちょっと行ってくる」
「お前、羽田まで往復何時間掛かると思ってんだよ?」
「3時間半とか4時間くらいじゃない?」
「今のお前には無理」
「え? 全然問題ないし」
「問題だらけだろ」
「貸してくれないなら、電車で行くからいいよ」
「は? 電車って、お前な」
「だって尚輝がケチ言うから、電車で行くしかないでしょ」
「わぁかったよ。貸す! でも行くなら――敦さんが一緒に行くなら、な?」
「「――――は?」」
尚輝の突然の方向転換に、俺と彼女の声は見事ハモり。
尚輝は驚く俺と彼女を見て、満足げにニコッと笑っていた。