彼は、理想の tall man~first season~
chapter.16
抱いてしまった怒りというものを、どこへ追いやればいいか分らず、私はただひたすら、車を走らせていた――。
「休憩しないで、大丈夫?」
「はい、大丈夫です」
ただ――いつものロンリードライブと違うのは、今日は隣に中條氏が座っているということ。
それもこれも、尚輝のとんでもない発言が発端だ。
「すみません、折角のお休みなのに・・・・・・」
お陰で私は、気兼ねなくロンリードライブなんて、いかなくなってしまったんだ。
向かう先は、羽田空港。
昔からなにかあると、空港のデッキから飛行機が飛び立つ姿を見ていた私は、久々にそれを見たい衝動に駆られたんだ。
まだ幼かった頃、母に車に乗せられ、父親のフライトをデッキから見上げて。
『行ってらっしゃーい』
なんて空を見上げていたあの頃が、とても懐かしい。
贅沢言うなら、ホームである成田まで行きたい所なんだけど。
あそこまで行くには、もう少し正常な精神状態でないと無理だった。
朝からとんでもパプニングに遭遇して。
それでもどうにか乗り切れて、みたいな所で、晃のデリカシーのなさに幻滅。