彼は、理想の tall man~first season~
中條氏がいると分かっていながら、あんなことをして来た晃が許せなくて。
勢い任せに頬を派手に叩いてしまった。
それを思い出すだけで、ムカついてイライラしていた私は、どうもスピードを出し過ぎていたらしく――。
「もう少し落とした方がいい」
落ち着いた中條氏のその声に、ハッとした。
「す、すみません」
「いや、いいんだけど。この先オービスついてるから」
「え・・・・・・?」
っそうだったんだ。
どうもアクセルを踏み込み過ぎていたみたいで、あっという間に速度オーバーになっていた。
危ない危ない、なんて思っていると。
「運転、慣れてるもんだね」
隣から中條氏が言葉と共に視線をこちらに向けた。
「尚輝に車借りて、ちょこちょこ運転はしてるんで」
「へぇ」
「首都高は久々だから、ちょっとドキドキなんですけど」
「いや、女の子がここまで運転出来れば大したもんだと思うけどね」
中條氏が隣に――というか、助手席に乗っている状況は、なんだか不思議な感覚だった。
中條氏が運転してくれといた時は、私が助手席に乗っていたからな・・・・・・。