彼は、理想の tall man~first season~
「ん? 松本からだな」
出てもいいか聞かれ、どうぞどうぞ状態で、私は頷いた。
「松ちゃん、昨日はサンキューご馳走様」
松本さんと話す時の中條氏は、普段パリッとした雰囲気の中條氏よりくだけた感じで。
心を赦しているんだろうなって感じる。
「今運転中だから代われないけど、美紗ちゃんも松ちゃんによろしくだって」
気を利かせてそう言ってくれた中條氏は、楽しそうに笑っていた。
――今空港向かってる途中。
――ああ、どうした?
――それはノーコメント。
――それより早く要件言えよ。なんだよ?
――ああ、そうなん?
――ふぅ~ん。
なんの事を話しているのか解らなかったけれど、ふぅ~んと言った中條氏が、なんだか可愛かった。
――は? 余興?
――俺はやらないから、宴会好きの原西とかに言えよ。
――そんなん絶対に無理だろ。
中條氏の言葉しか聞こえないけれど、なんとなくこの話は、例の披露宴まがいの2次会でのことかなと、思った。
だけど、
「同じ学部だった女で、連絡が取れる女? お前、いる訳ないだろ」
中條氏のその言葉に、胸がざわついた。