彼は、理想の tall man~first season~
『すっげー困ってたから、引き受けてくれると超助かるんだけど、どうかな?』
「あの、余り日もないですし、さがすの大変でしょうから、私で良ければ」
『本当に? マジ助かる!!』
松本さんの雄叫びに、軽く携帯から耳を離し、思わず苦笑い。
中條氏も、声デケーなと、呆れていたけれど、笑っていた。
「あの、松本さん」
『はぁい、なんでしょう』
「私、やるからには、きちんとやりたいので。1回でもいいので、その歌う方と練習させてもらいたいんですけど」
『いいの? 練習まで? でも場所が――』
「それなら、多分頼めば大丈夫な所があるので、もし友人代表さんにその場所に来てもらえるなら、そうして頂けると助かります」
『それじゃ、中條に俺の番号聞いといて。明日とかに電話してもらってもいかな? 話はつけとくから』
「あ、はい」
取りあえずなんとかなりそうかな――とか思いながら、中條氏に携帯を返すと。
「なんか、生き生きしてるね」
意外な言葉で返された。
けれど、言われたその意外だった言葉は、私にはちょっぴり嬉しい言葉だった。