彼は、理想の tall man~first season~

中條氏も練習に一緒に来て貰えたらいいんだけどな・・・・・・。

そう思っていると、「練習場所ってそのバーのこと?」と、そう聞かれたので、私は間髪入れずに頷いた。


「俺も行こうかな」

そう言ってくれたもんだから。

「是非、お願いします」

私は、ちょっと力んで言ってしまった。


友人代表の歌い人は、尚輝の知人の知人。

やっぱり誰か間に入ってくれる人がいないとキツいのも事実。

その後、中條氏の運転で再び空港を目指して走り出した車の中で、バーの場所とか歌う曲とかお互いの情報を交換して、その新郎さんの話で盛り上がった。

それは、何故私が空港に行きたかったのか――その胸の内を忘れるくらいの楽しさで。

そこに行く過程の中で、中條氏の存在によって――それらは吹き飛んでいた。


土曜日ということもあり、羽田空港には割とスムーズに到着。

出会いと別れの場所であり。

旅立ちの場であり、帰路の玄関の場でもあり。

様々な人の、思い思いの気持ちを乗せて飛び交う空港。


私達は駐車場から展望デッキに向かった。
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