彼は、理想の tall man~first season~

中條氏をもっと知りたいと思う気持ちが、ただの興味だけでないとすれば――。

やっぱり好きって気持ちが、そう思わせるんだろうけれど。

私には、晃とのことを言える勇気もなければ、知られたくないって思う、狡い考えもある。

そんな人間が、果たして中條氏を求めてしまってもいいのか?

不安もあれば迷いもある。


やっぱり駄目って、己の気持ちを踏みとどまらせようにも、反して気持ちは膨らんでしまう。

水曜の夜、一連の出来事をヨガ終わりに智子に話た時、別に言う必要がないでしょって、呆れた顔で言われたけれど。

中條氏と晃が同じ屋根の下に住んでいるんだ。

どの道半端な気持ちでは、付き合うことなんて出来ない。

それに、今朝みたいなことが、いつ起こるやら――。


『過去は変えられないんだから過去は過去って割り切って、本当に好きなら頑張ればいいじゃん』

智子が言ってくれた言葉。

いつもそうだけど――彼女は、私にどうしても誰かと恋をして欲しいと、そう言った。
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