彼は、理想の tall man~first season~

「おお、飛んだ」

その時、エンジン音を辺りに轟かせ、一機の飛行機が空に向かって飛んで行った。

中條氏が上げた声に、「かっこいい」なんて。

飛行機の事なのか、彼の事なのか――。

自分でもどちらの事を言っているのか解らない声を、ぽっそり上げてしまった。


「迫力あるなー」

「本当にそうですね」


飛行機を見上げている中條氏の横顔に、否応なしにドキッとした。

流石に少年の目とまではいかないけど、それに近い目を空に向けている。

コメカミから顎のラインは、割と骨ばっていて、首筋のラインとか少し出てる喉仏は、マトモに大人の男。

些細なそういうギャップが、胸にキュッと来る。


父親がそれを生業にしているからなのかも知れないけれど、飛行機を見て無関心な人より、こういう熱い反応って、私には凄く嬉しい反応なんだ。


「私は何回乗っても、あの位の高さの時、窓の外見て、うわぁって言っちゃうんですよね」

「それ分かる気がする。窓際の座席だとちょっとテンション上がるし」


大人になったからと言って、冷めていないそんな所も、やっぱりいいな――と思う。
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