彼は、理想の tall man~first season~

「――――」

「昨日までは、美紗ちゃんの様子見ながら、ゆっくりでもいいかなって思ってた。けど、」

「――は、い?」

「自らシュートしない事には、ゴールネットを揺らすことは出来ないからね」

「・・・・・・そう、ですね」


なんでこの人は、否応なしに私をドキドキさせてくれちゃうのか。

気持ちをどうにか踏みとどまらせないと――そう思っても、全ては真逆に作動していた。


それに、急に男の表情をして来るから。

始めから男だったけど、妙に男の色気というか、中條氏から、妙なフェロモンが出ている気がして――。

とてもじゃないけど、平常心でなんていられなかった。


恋愛下手だけど、既に中條氏に惚れてしまっているっぽい私には、かなり刺激が強い。


急に男って雰囲気が、ダメだ。

――緊張してしまう。



『人間好きか嫌いか興味がないか――美紗の中で、その中條さんは、どの枠にいるの?』

再び、この前、智子に言われた言葉が降りてきた。


やっぱり中條氏は、消去法をするまでもなく――好き枠にいるんだよね。


駄目って解っているのに――。
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